あきゆりのぶろぐ

SixTONESを中心にJr.への愛を叫ぶ

天下一の軽口男(2019/2/14夜)感想

 考えなしに動くタイプではなかったはずなのに、気がついたら三日後の夜に出発する夜行バスと五日後の朝に帰着する夜行バスを予約していた。

 

 かくして2019年2月14日早朝、15:30に松竹座で「天下一の軽口男」を観劇する以外は完全にノープランで、梅田にたどり着いたのであった。

www.shochiku.co.jp

 

 

 バス会社のラウンジで軽く身支度をしてから、足を向けた先は安定のジャンカラ。実は学生時代は関西圏に夜行バスで向かう機会がかなり多く、大阪や京都での時間の潰し方の最適解はここか漫画喫茶だと割り出し済みである。今回は思い切り声を出してテンションを上げてから向かいたかったのでジャンカラを選択した。早朝フリープラン本当にありがたい。

 

 ジャンカラ内でオフマイクで歌いつつ、人生で初めてのファンレターの下書きを書いた。だんだんと実感が湧いてきて何故かジャニーズではなく、小室ファミリーの曲を熱唱して気を確かにもつように努力した。

 

 

 11:00少し前、フリープランの時間切れ寸前に退店。私は足を梅田駅に向けつつ、観劇の必須アイテムの存在を思い出す。

「お前、武道館とか横アリで毎年公演しているTHE ALFEEのファンのくせに何で持ってないんだ?!」と感じた、このブログをよく読んでくださっているあなた、それはね、THE ALFEEのライブでは音を感じて拳を振ることに全力をかけているから、そんなことに思い至らなかったのですよ……。

 

 優しいフォロワーさんに教えていただいて、かの有名な梅田のヨドバシカメラの存在を思い出し、すぐさま向かった。にしてもヨド橋がなかった時はどうやってあそこまでみんなたどり着いてたんだ……。危うく詰みかけたぞ。

 

 店員さんに軽く話を聞いて、横アリも見越して8倍のこちらを無事購入。ヨドバシカメラのポイントがかなり溜まっていたので、お支払額は1野口程度に抑えられて助かった。

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 そしてお支払額を抑えられたせいで、邪念が入り込んでついついここに寄り道してしまった。

www.johnnys-net.jp

 目的はもちろん大阪店限定の関西ジャニーズJr.のお写真。だけのはずだったが、何故かお会計を済ませた私の手元には、Snow ManのセルフィーとEndless SHOCKの寺西拓人さんもいらっしゃった。何でだろうなあ(すっとぼけ)(一目惚れ)。

 

 

 道中でレターセットを入手しつつ、御堂筋線でなんばへたどり着いた。お昼ご飯を食べつつ、ファンレターを清書する。手がものすごく震えていたが、何と奇跡的に一度も誤字脱字をすることがなく(気がつくことがなくかもしれない)、便箋二枚と封筒の宛名・差出人名を書き上げられた。

 

 

 今回は鹿野武左衛門を演じる、関西ジャニーズJr.の室龍太さんを一目見たい一心で突発的に大阪行きを決めてしまったので、舞台の内容や共演者の方については、公式サイトや雑誌で室さんが語っていた以上の情報は完全に皆無の状態で向かった。認識としては大体こんな感じであった。

 

 

 改めて書き出してみると、2月半ばにして失礼オブザイヤーを受賞しそうな失礼さである。本当に俳優さんとか咄家さんとか芸人さんに疎いんです……。

 

 

 それでも、冗談ではなく心拍数を跳ね上げながら、松竹座へと無事にたどり着いた。開演30分前の、開場15:00まで何をしていたのか思い出せない。何故か数独とか解いてた気がする。開場とほぼ同時くらいに入場して、一階の総合受付カウンターでパンフレットを購入しつつ、ファンレターをカバンから取り出したら、察しの良い受付のお姉さまが優しく笑って「お手紙、お預かりしますよ」と言ってくださって、とても助かった。

 

 二階の売店が何となく両国国技館っぽくて少しリラックスした。普段は飲むことはほとんどないミルクティーを購入して飲みつつ、開演を待った。緊張が半端なかった。

 

 そして、幕は上がった。

 以下はパンフレットを参照しつつ書いたが、私の記憶と主観による部分もかなり大きいので、明らかな間違いを見つけたら優しくコメント欄でご指摘願いたい。

 

 舞台は江戸時代は元禄年間。語り部の笑福亭銀瓶さんが場を温めてから、子役さんたちによる大坂の難波村での滑稽芝居のシーンが始まった。キュートすぎて産んだ。

 

 彦八と幼馴染の元武家で豪商の娘、里乃は「うちのことをずーっと笑わせる」という約束を交わして、木戸銭がわりに徴収していた小石と貝殻をすべて彼に押し付ける。しかし、その晩里乃は一家で夜逃げしてしまい、行方知れずとなってしまう。この時点でもうどストライク。

 

 約束と里乃一家の夜逃げから7年後、彦八は伝説の御伽衆・安楽庵策伝(演・桂春團治さん)が残した笑話集『真筆醒睡笑』幻の第九巻を手に入れるべく、二代目安楽庵策伝を名乗る男(演・西川忠志さん)を訪ねる。しかし二代目は、素人観客の私にもわかるくらいに間の取り方や話の順序が下手くそで、てんで笑いの才能がないことが伝わってきた。彦八と『真筆醒睡笑』を巡って泥仕合のようなやり取りをしていて、結構な勢いで笑ってしまった。

 

 多分このあたりで「笑いに武士も町人も農民も関係ない」という大テーマ(と私は受け取った)が示されていて、これは劇中を通して一貫して主張されている。

 

 天下一の軽口男になったら、『真筆醒睡笑』を譲るとの約束を取り付けた彦八は腕を磨く&里乃を探すために江戸へと向かう。その一方で二代目の元には、元々仕えていた飛騨高山藩(おっさん、武士だったんか!)の武士、森四郎衛門(演・森光冬さん)が腕試しに斬りかかりがてら連れ戻しに来た。ここの殺陣(立ち回り)の迫力と、直後の「戻ってきてくれ」「戻る」「そうだよな戻ってきてはくれないよなでも我が藩はもう限界でお前の力が……えっ?」みたいなやり取りの落差がおかしすぎて、またひと笑い。

 

 江戸では彦八の幼馴染で、役者を志していたはずの左衛門改め鹿野武左衛門(演・室龍太さん)が小屋を立てて座敷咄家として売り出し中であった。同じく幼馴染の石川千佳(演・谷村美月さん)も絵師として名を上げるために江戸に向かったにも関わらず、「女である」という理由でことごとく弟子入りを断られて、武左衛門の絵を描いたり、小屋の木戸銭の徴収をしたりと、彼の売り出しを手伝っていた。

 

 あと武左衛門が江戸に向かうことを決意したシーンかな?

 花道を全力疾走する姿があまりにも美しすぎて息ができなかった。

 

 幼少期からずっと「美しいものしか描きとうない」と言っていた千佳が描くのは武左衛門なの、もう良さが溢れてませんか? ちなみに彦八は「美しくないから」という理由でモデルを断られていた。

 

 彦八が咄を考えて、武左衛門が演じる仕方咄という新しいスタイルはたちまち江戸で評判となり、座敷くらべというコンテストのようなものに出場することになる。ここで江戸に出てきてからたびたび武左衛門に突っかかってきたライバルの売れっ子座敷咄家、伽羅小左衛門(演・桂米平さん)が、武左衛門と過去に女を巡って争って勝ったことをネタにして大爆笑をさらった。しかし、それを逆手にとって武左衛門は捨て身の芸で人気を博す。

 

 彦八もそれに触発され辻咄を始めようとするが、その才能が武左衛門の活躍の妨げになると危惧した千佳は、彦八の考えたネタを他の芸人にばらまき先に演じさせた。里乃を探し出すことも叶わず、人のネタをパクった卑怯者として彦八は江戸を追われるように大坂へ帰る。

 

 ここで幕間となる。良さの過剰供給により私はバグっていた。

 

 二幕。それから五年が経ち、彦八は実家の漬物屋を手伝ってはいるものの、酒浸りで爛れた生活を送っていた。そして「のたれ死んでやるー!」とやけを起こして道に倒れこんだ彦八の、のたれ死ぬ様を見物しようと露の五郎兵衛(演・桂雀三郎さん)が近づいてきて初っ端っから笑ってしまった。

 

 彼に導かれて向かった生國魂神社では、小屋が立ち並び芸人たちが辻噺を披露し、武士も町人も百姓も関係なく、笑いに包まれていた。その様を見た彦八は笑いへの志を取り戻し、舞台に立つようになる。

 

 ライバル芸人の山田耕雲斎(演・池乃めだかさん)は彦八にアドバイスをしつつも、彼の笑いはあくまでも座敷噺でしかなく、生國魂神社では通用しないだろう、と身長器の小ささを垣間見せて、観客の爆笑を誘っていた。彼は初代策伝とも面識があったらしく、あの世から策伝がお迎えにきて(ここの行く行かないのやり取りも最高に面白かった)、セリに沈んでいくときに「あーっ身長が縮んでいくー!」と叫んでいて、ああ、セリの正しい使い方だな(?)と思わず感心してしまった。

 

 一方江戸ではコレラが流行していて、その原因が武左衛門の噺によるものだといちゃもんをつけられた挙句に彼は島流しの刑に処されることになってしまった。千佳は必死に抵抗しようとするが、武左衛門は諦めたように笑って、すがってきた彼女を引き離し、大島へと流される。も、む、無理……。

 

 ここでまた千佳の暴走が始まり、彼女はこの噺を考えたのは彦八ということにして濡れ衣を着せ、武左衛門を助けようとする。大切な人のために暴走しちゃう系の人、創作の中だったら大好きなんすよ。

 

 大坂では耕雲斎の予想通り、彦八は苦戦していた。しかし、彼は幼少期に里乃と行なっていた滑稽芝居と、これまでやってきた仕方噺を融合させることを閃き、今日でいう「まくら」を芸の頭に置いて客の心を掴んでから、じっくりとストーリーのある噺を聴かせる手法を編み出し、これが大ヒット。特に大名が町人のふりをして遊ぶものの、振る舞いが尊大すぎてすぐにバレる様を真似た「にわか大名」が人気を博する。

 

 興行師のよろず屋竜兵衛(演・内場勝則さん)や生國魂神社で酒を売っている清(演・里美羽衣子さん)もこれにはスカッとした、と彦八をもてなし、いい人とかいないのー? みたいなノリの話になる。ちょうどそこに千佳が訪ねてきたものだから、あっ、察し……後は若いお二人で……みたいな空気感を出してきて、めちゃくちゃ笑った。

 

 千佳は彦八から、コレラの流行もとと因縁をつけられた噺を考えたのは自分であるという証言を引き出そうとするが、うまく行かない。彦八も彦八で鈍いので、彼女の意図には気がつかず、家に招きもてなそうとまでしていた。

 

 そこに「にわか大名」でネタにした大名に仕える武士が襲いかかってきた。「うちの殿をネタにするのをやめろ、さもなくば噺が二度とできんように喉を潰してやる。次の生國魂神社の興行に検閲に参るからな!」との脅しに、彦八は「ここで一席披露する」と返して、襲いかかってきた武士のうちの一人の真似をする。これが他の武士に大ウケしたが、ネタにされた本人は逆上して斬りかかってきて、もはやこれまで、と思ったそのとき、二代目策伝改め田島藤五郎が圧倒的な剣術でねじ伏せたのだ。おっさーん!

 

 彼は主人である高山藩後見人金森左京奥方の、金森雅(演・高世麻央さん)のもとに彦八と千佳を連れて行く。雅様のオーラがやばすぎて、登場時にガチで鳥肌が立った。これがスター……。

 

 「評判のにわか大名とやらをここで演じてみせよ。笑わせられればこの砂金をやろう」との雅様の言葉に、彦八は「笑いはみんなで見た方がいいのだ。ぜひお忍びで生國魂神社へお越しください」と返し、一同を唖然とさせる。その常識では考えられない振る舞いが、雅様の琴線に触れたようで「我が藩の財産など惜しくもないが、あの男を失うのは惜しい」とまで言わしめる。ここのオーラもやばすぎてオペラグラス越しに見つめてしまってしんだ。

 

 一連のやりとりを側で見ていた千佳は彼に罪をなすりつけるのをやめ、江戸へと戻り、武左衛門を待ちながらも里乃を探す。

 

 当の里乃(演・田中美里さん)は江戸で米屋の夫婦に拾われ、跡取り息子の星見屋喜太郎(演・曽我廼家玉太呂さん)の後家に入っていた。当初は思いっきり笑えずとも微笑むことができればええんや、と彦八への想いを心に秘めて納得しようとしていたものの、喜太郎の残念な性格がたたって多額の借金を背負ってしまい、米屋なのに米が食えない状況に追い込まれる。それでも借金取りを締め上げたり、うまく説得したりして、すべて返済することに成功する。すげえ。

 

 借金も返済し、喜太郎も亡くなり、息子とともに平穏な生活を送っていた彼女を、千佳はようやく見つけ出す。そして、大坂の生國魂神社で彦八が大評判となっていること、彼はまだ里乃をずーっと笑わせるという約束を忘れていないことを伝え、彼の元からちょろまかしてきた、あの時の小石と貝殻が入った袋を渡す。それでも、家を守らなくてはいけないから、と里乃は大坂行きを頑なに断る。

 

 大坂では彦八が相変わらず「にわか大名」で大爆笑を取っていたが、今度は奇妙なことに、彼にネタにされた殿様がこぞって幸運に見舞われたと評判になり、「うちの殿を次は真似てくれ」と武士が賄賂を持ってくるようになっていた。それを全て断り(というか興行師のよろず屋が回収していた)、本人も不思議がっているところに、後ろから彼の目を手で覆って「だーれだ?」と声をかけた人物がいた。

 

 武左衛門である。

 彼は無事に島流しから帰ってきて、大坂まで彦八を訪ねにきたのである。夫婦(めおと)となった千佳とともに。めおとーーーーー!!

 

 武左衛門に促され、千佳は彦八のネタを他の芸人にばらまき、江戸から追いやった過去を謝罪する。ついでにコレラの件も罪を押し付けようとしていたことを暴露してしまう。かわいい。

 

 土下座する千佳と武左衛門(千佳の首か背中を手で押さえてる)を、笑って許す彦八。なんと身長器の大きい人なのだろうか。

 

 そして、何と里乃までも江戸から訪ねてくる。息子(喜太郎と前妻の子)が背中を押してくれたのだという。二人は再会の感慨にふけっていたが、今日も今日とて興行が始まる。

 

 武士も、町人も、農民も、入り混じって、彦八の噺で笑いにくるのだ。

 今日は三人に加え、お忍びの雅様までいる。男装……!

 

 彦八が噺を始める。

 

 

 「えーっ、私の想い人はたいそうしっかり者の元武家でして、玉潰しの里乃として〜」

 

 

 

 

 気がつけば手元のハンカチは涙でぐしゃぐしゃで、私の顔はぐしゃぐしゃの笑顔だった。大団円、泣いて笑って、ここにいられた事実に喜びしかなかった。

 

 どうにか松竹座を出て、夜行バスまで体を休めるためにネットカフェに篭った。ただただ多幸感に包まれていて、ふわふわしすぎたあまり、利用手続き用紙の自分の名前を三回も書き損じた。

 

 まさに、心ここに在らずで夜行バスまでの時間はほとんど何もできずに、友人に「よかった……」と語彙力を失ったLINEを送るだけの生き物と化していた。それでも何とか心を身体に連れ戻して、無事に夜行バス乗り場までたどり着いた。

 

 バスに乗り込んですぐ、最近、私の中で室龍太さんのことを考えると流れる歌を聴きながら安らかに眠りにつき、私史上最も幸せなバレンタインデーは幕を閉じたのだった。


岡崎体育 『龍』Music Video

SAITAMA

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龍

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 完全に蛇足だし、大変恥ずかしいが、内容についてほぼ無知の状態で書いたファンレターと、劇のテーマがあまりにもリンクしていたので、一部改変・省略しつつ掲載する。

 

 

 

 

室龍太様へ

 

 初めまして。

 数ヶ月前、精神的につらかった時に友人から「まいど!ジャーニィ〜」を教えてもらい、それ以来あなたの的確なツッコミに笑顔をたくさんもらいました。本当にありがとうございます。

 今回の公演も終盤にさしかかっておりますが、どうか千穐楽までお体に気をつけてください。

 これからもずっと、あなたが笑顔で過ごせますよう祈願しております。

 

2019年2月14日 秋百合